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5.その他の地域編


さて、その他の地域はどうでしょう。海藻を食材としてではなく生活上の用具とし、あるいは工業用物資や化学薬品とする方法を開発した歴史は断然ヨーロッパがアジアを引離しています。

一七世紀後半からフランスではケルプ工業がおこり、1692年ルイ十四世は王室海藻製造会社に1年のある期間、海藻採取の特権をあたえてます。ケルプとは大型褐藻類のことですが、これを焼いた灰の意味にも使われます。この灰をヨードや石けん、ガラス製造のためのソーダなどの原料に(後にはアルギン酸にも)用いるのがケルプ工業です。

17〜18世紀にかけてスコットランド、ノールウェー、フランスでケルプ工業は全盛期を迎えます。19世紀後半になると、食塩から炭酸ソーダを、チリ硝石からヨードをそれぞれ造る方法が発達したので、ケルプ工業は衰微してしまいます。

大ケルプのこの他の用途としては、茎が大きいので包丁や紙切刃などの柄とし、「人造の鹿角」と名づけて売出しました。ベルギーやイギリス、フランスの海岸では、家具製造者がホカスコルニシュスという海藻を椅子やベッドの詰物として、馬毛や羽毛に代えて使うと臭気が虫を防ぐので、子供のベッドに適すると喜ばれたそうです。タスマニアや南アメリカの沿岸の一部では、ケルプの大葉で水桶や水かめを作ることもあったようです。

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